32hインプロAdvancedⅡプログラム修了アンケート
インプロⅡアドバンスプログラムの方は、練習手順を熟知していてある程度出来る様になってから、その先は
音の操作のエラーを修復するという時間と音の高さの2次元レベルを超えて、
情緒の軸=音楽の表情や音色に関わる奥域について自分の主観性を追い求める3次元空間造形マッピングの領域へと進みます。
もはや、伴奏をしながら手を取り足を取り2次元レベルの内容をレッスンで扱う事は無意味となり、それはご自身で解決できる内容になります。
AdvancedⅡプログラムは自然に
音楽の奥域=主観性についての研究へと進みました。
具体的には、
既成曲を演奏する限り、その曲を創った作曲家の主観性=情緒を正確に探る、解読プログラムへと発展しました。
作曲家が発想した閃いたその必然性はどこにあるのか?又、自分に置き換えてその必然性の在り様を探る。
何故、その曲をやりたいのか?自分にとっての必然性は?作曲家の曲が生まれた必然性は?
又、作曲家がその曲を生んだ背景には何があったか、その時代背景や音楽の方向性や作曲家の性格を
その曲から見出す為ためには、どうしたらよいか?
自分の感性を信じるとはどういう事なのか?など、
曲を仕上げる上で様々な作曲家と自分の関わりについて研究体験しました。
扱ったそれぞれの曲のエピソードや、情緒を踏まえたインプロについての思いをお聞かせください。
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お名前(Mr.A.O)年齢(56才) 出身学校(東京理科大学)(理工学部)学部 ご職業(IT系エンジニア)
楽器(Trumpet、Flugelhorn) 演奏歴(約30年) お住まいの地域(千葉市)
1.All Of Me
気ままプログラムで初めて演奏した時は、B♭のキーでしたがインプロを勉強する頃にはCのキーにこだわって吹くようになりました。
Advancedプログラムの前半は、アドリブを吹きながらミディアムテンポについていくのが精一杯でした。
色々なアドバイスを受けて、一歩も二歩も早めの予期をしながら演奏し、
アプローチノートを使って吹けるようになってからは余裕すら感じるまでに進化しました。
楽しい曲想でありながら曲のストーリを自分なりに表現できたと思います。
奥が深い内容のレッスンを通じて、曲の仕上げで録音した演奏Takeは、これまで体験したことがない最高の出来映えになりました。
2.The Girl From IPANEMA
普段の練習ではAll Of Meの次に親しみがあった曲です。
Advancedプログラムの中盤、何回も録音しながら演奏し、自分でPlayBackを聴いて自分で良かったと思う箇所を書き留める方法で学習しました。
部分的であっても良いと感じたフレーズは、忘れないように帰宅してからメモにも残しました。
自己練習では、自分を客観的に評価することは出来そうで出来ないことです。
レッスン中は、不思議と客観的に自分を評価することができます。
自分の理想がそうさせているとのことですが、良いと感じたフレーズを自分で振り返る練習は、とても効果的な練習になると思います。
3.Joy Spring
Advancedプログラムに入る前のImprovisationプログラムで沢山Playした曲ですが、久し振りにAdvancedプログラムでも演奏しました。
この曲はキーの変化についていければ一見演奏できたと思いがちですが、
Advancedプログラムでは更にダイアトニックの進行を面白くする技法を学びました。
Advancedプログラムの途中で左腕の怪我(神経麻痺)により、後半は楽器を使ったレッスンが出来なくなりましたが、
今後は自分でJoy Springを実践で演奏できるように練習を積む予定です。
4.Nica’s Dream
Advancedプログラムの初回から4回目くらいのレッスンまで、曲の解読だけをじっくり考える機会がありました。
その中の一番のお気に入りの曲がNica’s Dream(Horace Silver)です。
曲の解読とは楽譜(例えば、定番のReal Book)から曲の仕組みを解き明かす作業ですが、
解読が進むにつれてその曲を自分が吹けるようになって行くような、ワクワクする気持ちになります。
その曲を吹きたいという気持ちが、まさに解読の源になります。
キーボードで前半部分のスケールを弾いただけで、この曲の不思議(Dreamのよう)な感覚を味わえるのが楽しい曲です。
5.Airegin
Sonny Rollinsの曲で、聴いたことがあるビバップの曲ですが、勉強のために解読しました。
Aireginは名前のからくり(逆さにするとNigeria)からも曲の仕組みを物語っているように感じる曲です。
とにかくキーが目まぐるしく変わる曲で、ビバップの時代らしい曲だと思います。
自己練習ではAireginはまだ吹いていませんが、ビバップらしい名曲なので今後取り組んでいきたい曲です。
6.A Night In Tunisia
Dizzy Gillespieの有名な曲です。トランぺッターならば誰でも一度は演奏すると言っても過言ではない曲ですが、
ガレスピーの有名なEndingが足かせになって、どうしても敬遠しがちな曲です。
そうは言っても、Ending以外は演奏できるチャンスかもしれないと思い、Nica’s Dreamの次にお気に入りの曲として解読しました。
その甲斐あってか、2回目くらいのホームワークでInterludeの間奏以外はほぼ解読できました。
いつか自分も吹くかもしれない名曲です。
7.What Is This Thing Called Love
Cole Porterの曲ですが、解読にとても苦労した曲です。
Cole Porterと言えばNight And Dayなどの作曲家として有名ですが、
この曲が作られた背景や曲に秘められた仕組みの「ヒントがタイトルにある」とは、思いもよりませんでした。
曲にはタイトルや歌詞、曲の進行にも作曲家の想い、人間臭い感情が秘められていることが良くわかる、脱帽モノの名曲です。
Advancedプログラムでは、音符を観るのではなく、この曲のように心の流れ、ストーリを読み取ることが大切であることを学びました。
ここまでが、Advancedプログラムの前半で学んだ曲です。
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8.April In Paris
Advancedプログラムの後半は楽器を使わずに、曲の情緒を探るための解読へと進みました。
April In Parisは、僕がビッグバンドに入っていた頃、カウントベイシー楽団の派手なイメージでしか理解していませんでした。
曲の解読では、自分の経験は逆に邪魔になってしまい、結果、解読が失敗することを学びました。
先生からApril In Parisの歌詞(英語)を、フレーズのかたまりごとにマッピングしたメモを渡され、
フランク・シナトラやドリス・デイが歌っている音源を聴いた時は、この曲の歌心の意味がようやく理解できました。
まさにAdvancedプログラムは、音符でなく心の流れを読み取るプログラムとなり、April In Pairsは恋心を歌った名曲だということを知りました。
9.Giant Steps
まさか自分が、難解曲とされるGiant Steps(John Coltrane)を解読するとは夢にも思っていませんでした。
曲の解読で重要なことは、「自分で吹くつもりで考えること」でした。
解読は自力で全て解明できた訳ではないですが、先生が35年掛かってやっと閃いた時に、
たまたま自分がその場に居合わせたという、とてもラッキーな体験をしました。
難易度はそれなりのレベルじゃないと吹けない曲ですが、僕でも練習すれば吹けそうに思えてしまう曲だと判り、
John Coltraneはきっとある種の変化音の練習用に作ったのではないか?とも思える内容で安心しました。
口で言うのは簡単ですが、練習したら実践で吹いてみたい曲です。
10.Nardis
Advancedプログラムの総仕上げの曲として、Nardis(Miles Davis)の解読を学びました。
『今まで、学んできたこと(コード系、ImprovisationⅠ~Ⅲと)を総動員すれば、必ず解読できる。』とのアドバイスを受け解読に取り組みました。
自分で解読のヒントを掴むまで時間がかかりましたが、独特の曲想はきっと訳があると思い始めたのがきっかけとなり、
一種のモーダルな曲であることに気づき、総仕上げの曲らしいフィナーレとなりました。
更に、『何故モーダル曲と言えるのか?』という奥が深い問いに対しても、普段聴き慣れたIonianの世界を違う視点で考える良い機会となりました。
このように、Advancedプログラムは、
これまでSonicで学んできたImprovisation を更に発展させ、曲に対して自分がどう向き合うのか?といった視点で演奏することまで学びました。
また、そのためにどんな練習を行うことが必要なのか?曲の解読とは自分にとって、何であるか?といった、
一見、素朴でありながら最も大切なことを学ぶ機会となりました。
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以上です。